2010年10月23日

裸のラリーズ「LES RALLIZES DENUDES '77 LIVE」

裸のラリーズ「LES RALLIZES DENUDES '77 LIVE」

裸のラリーズ「LES RALLIZES DENUDES '77 LIVE」(1991)

今では完全な伝説だろうが、80年代頃はまだラリーズはポツポツとライブをやっていた。
しかし、なんというか簡単に手を出してはいけない領域のような気もして、若僧は遠慮していたのだ。
良いも悪いも含め、ラリーズは孤高の存在であった。

そんなラリーズに掟破りのアプローチをした者がいた。
早稲田大学前衛ロック研究会「ユーテラス」である。なんと学園祭でラリーズのライブを企画したのだ。
当時はバンドを呼んでライブを企画するなんていうことが大学の学園祭で花盛りであった。その恩恵で随分とおもしろいライブを廉価で見れたものだ。
しかし、ラリーズというのは恐れ知らずもいいところではないか。
学園祭のライブのビラとは思えない高級感のあるモノクロのビラと共に前売券が売られ、僕も買ってしまった。

1987年11月1日、僕は昼間の光を完全に遮断した教室に座ってラリーズを見た。
自分の人生の中で唯一のラリーズ体験だ。
その頃聴き込んでいたガリガリのバンドの比べて、ラリーズの音には不思議な透明感があった。
何者にも真似できない何物かがあった。

そして、しばらくした後のモダ〜ン・ミュージックでかかっていた音、それはその時に経験したラリーズの音だった。
クリアなスタジオ録音の音。この頃、ラリーズのアルバムが出ると噂されていたのだ。
しかし、彼らのアルバムが出ることはなかった。

今ではブートだかなんだかわからないものが結構手に入るらしい。
しかし、音源がないというのが昔のラリーズのステータスだった。
その状況を打破するように3枚のCDが出たのが90年代の初め。いずれも過去の音源を発掘したもの。
そのうちの一枚がこれだ。1977年のライブ。
これがあればいいというものでもないが、これがあってくれてよかったと思う。
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2010年09月26日

DRUNKS WITH GUNS「SECOND VERSE」

DRUNKS WITH GUNS「SECOND VERSE」

DRUNKS WITH GUNS「SECOND VERSE」(1983)

80年代に「病気」という言葉が流行った。「ビョーキ」と表記した方が正しいかも知れない。
要するになんだか人と違った様子で、少しばかり挙動不審で、なんだかそれがいいのか悪いのかよくわからなかったけど。
まあ、日本の流行語でカタカナで表記するようなものは軽いモンです。
ちょっと自意識過剰で変わり者ぐらいを病気だ変態だ言っていた気楽な時代です。

でも、どんなところにも本物はいるのだ。
このドランク・ウィズ・ガンズ、これは本物です。
80年代前半から半ばにかけてのオハイオ出身のバンドです。

強力に捩れて重たい雑音、絞り出る発狂気味の叫び。
本当に狂っているかのような何かが滲んでしまっている音は、普通に人にはただの責め苦にしか思えないのでは。
本当は普通なくせに変わったふりをして、それが偉いと思っていた奴らとは格が違うのだ。

多分正式にはアルバムを出していないと思う。シングル等の音源をまとめたのがこの盤だ。
あまりお勧めはできないが、行けるところまで行ってみようという志を持っている人は是非。
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2010年08月23日

割礼「PARADAISE・K」

割礼「PARADAISE・K」

割礼「PARADAISE・K」(1987)

割礼の最初の単独音源である。
当時はミニ・アルバムという形だったけど、今年になってCDで改めて再発になった。

今聴いても本当にいい。
どこにもありそうな音で、でもどこにもない不思議な音。
サイケデリックといえばサイケだろうけど、それでは全てを言い尽くしたことにはならない。
なんなんだろう、こう感じ。割礼は割礼でひとつのジャンルなんだろうと思う。

当時はライブでよく聴いていた曲が並んでいる。
だから懐かしくもあるけど、本当にいい曲ばかりだ。

やっぱり割礼が差別化されているのは宍戸の声と歌詞なんだろうか。
「競い合う悪癖・病癖に」とか「今日一日情熱的に」とか微妙に不思議な言葉遣いは、不思議に剥き出しになったロマンチシズムだった。
それがあの声に乗ると、音の形が他のものと違うように聴こえるのだ。

こんなバンドが普通にいたのだから、80年代のライブハウスはとても面白くて刺激的で楽しい場所だったのだ。
そして、割礼はまだその場所にいる。

その他無人島に持って行きたい作品
割礼「割礼LIVE '88」(1988)
割礼「ネイルフラン」(1989)
割礼「ゆれつづける」(1990)
割礼「IS IT A HALF-MOON OR FULL-MOON?」(2種類)(1998)
割礼「空中のチョコレート工場」(2000)
割礼「星を見る」(2010)
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2010年08月09日

WIPERS「WIPERS BOX SET」

WIPERS「WIPERS BOX SET」

WIPERS「WIPERS BOX SET」(2001)

よく憶えていないけど、このバンドもグランジ以降再評価されたのかな。
ニルヴァーナ絡みだっけ。まあ、そんなことはどうでもいいか。

まだ、アメリカでパンクというものが認知されていなかった70年代の終わりから活動しているポートランドのバンド。今もひょっとしたら活動しているのかな。
しかし、一番旬だったのは80年代半ばぐらいまでじゃないかと思う。
その頃の初期のアルバム「IS THIS REAL?」「YOUTH OF AMERICA」「OVER THE EDGE」をコンパイルした3枚組。今でも手に入りやすく、これで初期のほぼ全てが押さえられるという優れモノ。
独特の湿ったメロディ・ラインとディストーションのかかったギターによるロック。パンクというより普通のロックだけど、それがとってもカッコよくてはまる。

アメリカのローカル・シーンの豊穣さというのは全体論だけをなぞった音楽史では語れない。
パンクがどうのグランジがああだみたいなことでは捉えることはできない。そこにいたバンドはそんなことを意識したりしていない。
例えばハスカー・ドゥやリプレイスメンツとかもそうだけど、いろいろとレッテルを貼るのは周りなのだ。
彼らは普通にバンドをやっていただけだ。

ワイパーズもそういうバンドだ。
ハスカー・ドゥやリプレイスメンツと同じぐらいセンスはあるし、同じぐらい評価されて欲しい。
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2010年07月20日

LAST RESORT「A WAY OF LIFE :SKINHEAD ANTHEM」

LAST RESORT「A WAY OF LIFE :SKINHEAD ANTHEM」

LAST RESORT「A WAY OF LIFE :SKINHEAD ANTHEM」(1982)

ジャケットを見てもタイトルを見ても完全にOiである。
そして音の方も然りである。

と言いたいところだが、なかなか一筋縄ではいかないところもある。
Oiと言えば、イメージされる音、2ないし3コードの単純な曲についついシンガロングしてしまうフレーズ、無意識に拳を振り上げて「Oi、Oi!」と絶叫してしまうノリ、そういうものがストレートには出てこない。
もちろんそういう要素も多分にあるけど、もっと重たくて濃いパンク・ロックである。

それはそれでカッコいいんだけどな。
Oi好き以外にも聴いて欲しいバンドである。
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2010年07月04日

吉野大作&プロスティテュート「死ぬまで踊りつづけて」

吉野大作&プロスティテュート「死ぬまで踊りつづけて」

吉野大作&プロスティテュート「死ぬまで踊りつづけて」(1981)

吉野大作はなんとなく80年代の日本のニューウェーヴの脈絡の中にいるような扱われ方をしていたと思う。しかし元はもう少し違うところの出自のようであるけど、正直な話、詳しくは知らない。
最初に知ったのは「REBEL STREET」に収録された「ここ、そして、ここじゃない場所」を聴いた時だ。
本当にこの曲はカッコいい。一聴してぶっ飛んだ。
出自はどうあれ、この曲のカッコよさはパンクやニューウェーヴの風に当てられたものだ。この時期にこの性急さはそれでしかあり得ない。

とはいうものの、やっぱりお郷の違いがあって、どっぷりと馴染むのが難しい相手ではある。
一番フィット感があるのはこのアルバムだろう。
タイトルもカッコいいが、音の方もカッコいい。
ジャンル分けとかする前に素直に聴いてみるのがいい。
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2010年06月27日

ZEKE「FLAT TRACKER」

ZEKE「FLAT TRACKER」

ZEKE「FLAT TRACKER」(1996)

やっぱりモーターヘッドというのは偉大な発明だったのだろう。
特定のバンドを捕まえて「発明」なんていうのもおかしな言い方だが、そうとしか言い様がない気がする。
そのバンドのスタイルがひとつのジャンルになってしまうのだから仕方がない。
ラモーンズよりもAC/DCよりもそのスタイルの粘着性と伝播性がモーターヘッドは高いような気がする。

というわけで、数多の継承者を生んでいるモーターヘッドだけど、その中の最優秀なのがこのジークだ。
いろいろ言ってもしょうがない。爆音で轟音、速けりゃいいってもんじゃないけど速くて文句は全くない、ヘビメタのハイトーン・ボーカルは立入禁止。
そういう世界だ。そういうものだ。
モーターヘッド度が最高級のレベルのバンド、そりゃ燃えるよ。

これはセカンド・アルバム。
これ以外のアルバムもほぼ変わらない。その辺も最高。

その他無人島に持って行きたい作品
ZEKE「KICKED IN THE TEETH」(1998)
ZEKE「'TIL THE LIVIN' END」(2004)
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2010年06月13日

THIS HEAT「DECIET」

THIS HEAT「DECIET」

THIS HEAT「DECIET」(1981)

変に評価されてるな、このバンド。確かにユニークではあるけど。
アルバムは2枚あるけど、特に評価が高いのはファーストの方。テープのコラージュや雅楽みたいな音を織り込みながら即興の演奏を中心とした音は確かに唯一無二の空間を作り出している。

だけど、そりゃ誰もそんなことをしないだけで、それが本当に優れているかどうかはまた別の問題だ。
でも、誰もしないことをするというのが確かにあの頃の絶対的な評価軸であったのだ。
なのでディス・ヒートは正しい。

とは言っても、自分の感性に忠実になれば、好きなのはセカンドの方だ。やっぱりこっちの方がわかりやすいもん。
わかりやすいというのは開かれているということだ。
そういう意味でこのセカンドの方がファーストより入りやすい。
ファーストはあのジャケットが好きだけど。

それも程度の問題なので、聴く人が聴けばどちらもちんぷんかんぷんであろう。
そこを乗り越えれば新しい可能性は広がる。
とにかく何度も聴いてみることだ。

その他無人島に持って行きたい作品
THIS HEAT「THIS HEAT」(1978)
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2010年05月30日

METALLICA「KILL 'EM ALL」

METALLICA「KILL 'EM ALL」

METALLICA「KILL 'EM ALL」(1983)

「ST. ANGER」が出た時のことだ。
その頃、僕は音楽関係の会社に勤めていて、会社にはテレビでCSの音楽チャンネルが流しっ放しになっていた。そこでメタリカの新曲が流れたのだが、あまりの凄さに会社全体が軽く凍りついた。
僕もしばらく目が釘付けになってしまった。
なんというか、あまりにも過剰な何かに金縛りになってしまったようだった。

メタリカはそういうところがあるバンドだ。
ある時期からあまりにも凄くなってしまった。そしてあまりに過剰になってしまった。それはそれでいいのだけど、なんというかこちらの体力がついていかなくなった。
特にミドルテンポの重い曲はつらい。最後まで聴くと息切れがした。ゼイゼイ。
最近は少し変わってきてるのかな。息切れしてしまってからはあまり聴いてないのだけど。

元々はいわゆるスラッシュ・メタルというジャンルの創始者であり、大枠でメタルというジャンルでありながら、オルタナ関係からも評価されていた。その辺の感じは「GARAGE, INC.」でカバーされている曲に顕著だ。ディスチャージのカバーとか凄いカッコいい。
しかし、より音楽的に深化した以降より、敢えて超初期のスラッシュの頃を推しておきたい。
このファースト・アルバムでスラッシュ・メタルというジャンルがあっという間に確立した。
理屈抜きで凄い。楽しめる。

その他無人島に持って行きたい作品
METALLICA「MASER OF PUPPETS」(1986)
METALLICA「METALLICA」(1991)
METALLICA「LOAD」(1996)
METALLICA「RELOAD」(1997)
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2010年05月23日

JIM MORRISON「AN AMERICAN PRAYER」

JIM MORRISON「AN AMERICAN PRAYER」

JIM MORRISON「AN AMERICAN PRAYER」(1978)

ドアーズとジミへンとT.レックスに共通していること。
それはジム・モリソン、ジミ・ヘンドリックス、マーク・ボランの死後に有象無象の音源が際限なくリリースされたことだ。

ジミへンは最近そうとうしっかりしてきて、かなり整理された。
マーク・ボランは相変わらずか。自分は偏執的なT.レックス/マーク・ボラン・マニアだが、もう正直ついていけない。そろそろ必要なものは手に入ったと思うし。

ドアーズに関しては、レイ・マンザレクあたりが率先して余計なことをしているような気がする。
いまさら色々なものを出されても困るのだ。
必要なのは決定的なものをしっかりとした音質で出すこと。それしかない。

さて、これはジム・モリソンの死後に残された生前の詩の朗読のテープに残されたメンバーが演奏を被せたもの。
いかにも胡散臭い。ちゃんとしたリリースとして出ていたが、今は手に入るのだろうか。

ドアーズは好きで、アルバムは全て持っているけど、さすがにこれは買わないでいた。たまたま友達がくれたので、聴いた。
聴いてみてびっくりした。凄くよかった。
凄く生々しくジム・モリソンの声が響いていた。
「L.A. WOMAN」なんかよりずっといいと思う。
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2010年05月17日

FRICTION「'79 LIVE」

FRICTION「'79 LIVE」

FRICTION「'79 LIVE」(2005)

フリクションにはあまり興味が持てなくて、80年代からシーンに入った者にとっては実は難しいバンドなのだ。少し過去のバンドという感じもあったし、現役感という意味では圧倒的にE.D.P.Sだった。
一番よくなかったのは「軋轢」の音のスカスカさ加減だった。まずはあのアルバムを聴いてみるもんでしょう。それがあんな感じだった。よくなかった。
あれが自分を萎えさせたと思う。

本当は凄いんだろう、そうは思ってはいた。みんなそう言うんだものね。
それを体験する手段といえばライブだ。
実際、90年代に入ってからだけど数回見たライブはどれも凄かった。最近のレックと中村達也の二人でも凄いと思う。

でも、やっぱり初期のツネマツ在籍時の凄さを体感してみたいもんでしょう。エクスキューズ抜きで感じてみたい。
それに一番近いのはこのライブなのかな。
ライブ盤もいろいろ出ているけど、これが当時の緊張感を一番伝えているような気がする。
気がするけど、本当にそうかはわからない。なにせその場にいたわけではないのでね。

その辺の逡巡は別にして、単純にこのアルバムの音はやっぱり凄いと思う。
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2010年05月09日

PAGANS「SHIT STREET」

PAGANS「SHIT STREET」

PAGANS「SHIT STREET」(2001)

1977年にクリーブランドで結成されて、1979年には(一旦は)解散。時期的にはモロにパンクだが、音の方は素直にパンクでございますで片付けてしまうわけにはいかない。
クリプトから音源がリリースされていることからも察せられるように、完璧なガレージである。
そう、完璧なガレージ・バンドだ。

90年代になってからのガレージの再燃を完璧に先取りしている。
90年代のガレージは元来のガレージをテイストを持ちつつよりハードにより加速して展開していた。代表格がNEW BOMB TURKSだけど、このPAGANSはその10年以上前に同じことをやってしまっている。
60年代のガレージ・サイケのささくれ具合をそのままに、パンクの爆発力とスピード感を携えて、濃い目のガソリンをぶちまけて火をつけた感じ。
とにかく燃えるのだ。

当時は4枚のシングルしか残していないバンドだったけど、21世紀になって2枚の音源が出された。
「THE PINK ALBUM...PLUS」と「SHIT STREET」。どちらも素晴らしい。
確かに数少ない音源や未発表モノやライブを寄せ集めたものではあるけど、それ以上の価値はある。

その他無人島に持って行きたい作品
PAGANS「THE PINK ALBUM...PLUS」(2001)
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2010年05月02日

CURE「KISS ME, KISS ME, KISS ME」

CURE「KISS ME, KISS ME, KISS ME」

CURE「KISS ME, KISS ME, KISS ME」(1987)

カッコつけたくてしょうがなかった年だったから、大学に入ってすぐに「どんなバンドを聴くの?」の問われて「キュアーやバニーメン」と答えたのだ。エコー・アンド・ザ・バニーメンはともかく、キュアーはそんなに聴いていなかった。
いや、むしろ好きじゃなかった。
でもそういう風に答えるのがカッコよかったのだね、80年代の半ば頃はね。

その頃はせいぜい「PORNOGRAPHY」の時期で、キュアーも暗い、下手すればポジパンなどと呼ばれていたのだ。少しばかりその頃の僕にはつらかった。
ロバート・スミスには注目していたけど、それはバンシーズにギタリストとして参加していたからだ。バンシーズでのロバート・スミスのギターは超絶にカッコよかった。

バンシーズから戻ってからのキュアーは変わり始める。
「要するにいい曲を書いて歌えばいいのだ」と悟ったロバート・スミスはそれまでとは違ったポップな一面を見せ始める。その頃から次第にキュアーに惹かれ始めた。
しかし、それほどストレートな人でもないので、ポップな面とダークな面を行き来しながらキュアーは螺旋を描いていく。

その螺旋の中で一番ポップに振れたアルバムがこれかも知れない。
タイトルからして狂躁的だ。ロバート・スミスにしては目一杯に躁状態だったに違いない。
このアルバムが好きである。

なんと言っても「Just Like Heaven」が入っている。
ダイナソーJR.がカバーしたことで知名度が上がったかも知れないこの曲、やっぱり素晴らしい曲だ。
本当にいい曲は一生に何度も書けない、それは特殊な事情の時に書けるものだ。そんなことを大瀧詠一が言っていた。
これは正にそういう曲だ。

2007年のフジロック、23年振りにキュアーが日本に来た。
本当に素晴らしいステージだった。
キーボードがいない分、完全にバンドの音になっていて、キュアーが極めて特殊な音構造を持ったバンドであることが明らかになった。
その中でも「Friday I'm In Love」(本当に金曜の夜だった)から「Just Like Heaven」に続くところが頂点だった。
あれは本当に天国のようだった。

その他無人島に持って行きたい作品
CURE「THREE IMAGINARY BOYS」(1979)
CURE「PORNOGRAPHY」(1982)
CURE「THE TOP」(1984)
CURE「WISH」(1992)
CURE「SHOW」(1993)
CURE「GREATEST HITS」(2001)
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2010年04月25日

酒井法子「碧いうさぎ」

酒井法子「碧いうさぎ」

酒井法子「碧いうさぎ」(1995)

まあ、ああいった事件はあったけど、それとこれとは別問題だ。
つまり、ドラッグやったぐらいの話でその人の音楽的な評価を変えているようでは、例えばロックやジャズのようなジャンルはそもそも成り立たない。
僕は全く気にしていない。

僕は70年代中心とした歌謡曲マニアで、その辺りが自分の音楽的ルーツだと思っているけど、さすがにルーツというだけあってなかなか体質的なところから抜け切らない。
そういう人間からすると、90年代に入ってからJ−POPつうの?が出てきてから歌謡曲という概念が薄れてきて、10年も経つとほぼ完全になくなってしまったのが残念でたまらない。
1995年当時にはすでにそのような淋しい気持ちを抱いていたのだけど、この曲はそんな心の隙間を埋めてくれたものです。
これは完璧な歌謡曲です。J−POPに非ず。

アイドルとしての酒井法子には全く興味がなかったけど、この曲は名曲だと心底思います。
posted by はせお at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 無人島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月19日

MAGIK MARKERS「A PANEGYRIC TO THE THINGS I DO NOT UNDERSTAND」

MAGIK MARKERS「A PANEGYRIC TO THE THINGS I DO NOT UNDERSTAND」

MAGIK MARKERS「A PANEGYRIC TO THE THINGS I DO NOT UNDERSTAND」(2006)

ケンタッキー州の3人組。これ以上の情報がほぼない。
サーストン・ムーアのお気に入りらしい。あの男もやたらと細かいところまで目配りしてるからな。

音の方はほぼ完全に即興であり、このファースト・アルバムもライブである。この手のノイジーなバンドではまずはライブというのはよくあるパターン。
即興と言っても、ジャズなどのそれとは全く異なる完全にあらゆる制約から逃れようとするかのようなフリー・フォームである。フィードバックし放しのギターとどしゃめしゃなドラム、それに女性による絶叫するようなポエトリー・リーディングとスクリーム。
完全にそういう世界の音の螺旋が紡がれていく。

こういう方法論はもはや21世紀ともなればあまり新鮮味はない。しかし、それを無視して徹底する様はある意味で潔い。

セカンドではずっと整合性のとれた音を出すようになった。
それはそれでなかなかよろしい。

その他無人島に持って行きたい作品
MAGIK MARKERS「BALF QUARRY」(2009)
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2010年04月11日

SONICS「HERE ARE THE SONICS!!!」

SONICS「HERE ARE THE SONICS!!!」

SONICS「HERE ARE THE SONICS!!!」(1965)

ガレージと言えば最古参として必ず名前が挙がります。
60年代のガレージ・サイケ、ガレージ・パンクの中でも代表格かな。
「ナゲッツ」にも収録されていたと思うけど、その中でも極めて凶暴な音を出していたと思う。

同時期のイギリスのバンドと同様にリズム&ブルースに影響を受けていて、その辺の曲も大量にカバーしているけど、そう、とにかく音が凶暴。ディストーションのかかったギターも、強力なシャウトも際立っている。
ビートルズやストーンズから始まった「ロック・バンド」という形態が様々に枝分かれしていった過程で、MC5に繋がっていく根っ子の部分がこのバンドだと思う。

そんな彼らのファースト・アルバム。
1965年とは思えないほどに凶暴である。

その他無人島に持って行きたい作品
SONICS「BOOM」(1966)
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2010年04月05日

HANG ON THE BOX「DI DI DI」

HANG ON THE BOX「DI DI DI」

HANG ON THE BOX「DI DI DI」(2003)

最初はほんの興味本位だったと思う。だって中国の女性パンク・バンドだよ。そりゃ聴いてみたくなるでしょ、普通。
それで聴いてみたのがファースト・アルバム。まあ、可愛らしいね、ぐらいの感想だった。

しかし、女子というのは覚醒する時は急速に覚醒するのだ。
それは赤痢の時に思い知った。それと同じような経験を15年振りにすることになるのだ。

彼女たちのライブを初めて見たのは2001年の9月だった。
ロリータ18号でのライブでのこと。あの日は韓国のノン・ストップ・ボディも出ていて、アジアの女性パンク・バンドの素敵な競演の日だった。

初めて見たハング・オン・ザ・ボックスはCDで聴くのよりずっと音がしっかりしていて凄くよかった。
というか、マジでカッコいいと思ってしまった。
特にボーカルはなんというか北京だとか女性だとかそういうエクスキューズを超えた存在感があってカッコよかった。
これは本気で化けるかも知れないと思った。

そして、完全に化けたのがこのセカンド・アルバム。素晴らしく素敵だ。
パンクと言えばパンクだが音楽的にはもっと色々な要素を吸い込んで呼吸している。その自由な有り様は初期のニューウェイヴ、もっとはっきり言っちゃうと80年代の日本の女性バンドに極めて近い。つまり、ZELDAやD−DAYやRAPやキャーである。
とっても自由で瑞々しくて、本来パンクというものはこういうことじゃないか、とすら思ってしまう。

この後、もう一回来日して、アメリカにツアーなんかも言っていたみたいだけど、その後は音信不通。
かなり残念だけど、このアルバムが手元に残っているのが本当に嬉しい。
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2010年03月28日

HUSKER DU「LAND SPEED RECORD」

HUSKER DU「LAND SPEED RECORD」

HUSKER DU「LAND SPEED RECORD」(1981)

ハスカー・ドゥは本当にいいバンドだった。時期的なものや音の感じからパンク・バンドと見なされていたけど、普通にカッコいいロック・バンドだった。
80年代のUSアンダーグラウンド・シーンの中のハードコア・パンクは非常に範囲・量ともに豊富で、それ故に曖昧だ。なんでもそこに入れてしまう感じがある。
ハスカー・ドゥはボブ・モールドとグラン・ハートという優れたソングライターがいて、音はハードだったけどメロディのしっかりしたロック・バンドだった。
後期はよりいっそうメロディアスな部分が前面に出てくる。
音の感触もパンクから後のグランジにブリッジするような音とも言える。

しかし、元々は滅茶苦茶といっていいぐらいのハードなパンク・バンドだった。お郷はしっかりとそこなのである。
その有り様をあまりにも生々しく記録したのがこのファースト・アルバムである。
もうどうなの?どうかしちゃったの?と聞きたくなるぐらいのスピードと爆裂だけの音である。無茶苦茶殺伐としている。
こちらの方はこれで最高にカッコいい。

その他無人島に持って行きたい作品
HUSKER DU「EVERYTHING FALLS APART」(1982)
HUSKER DU「METAL CIRCUS」(1983)
HUSKER DU「ZEN ARCADE」(1984)
HUSKER DU「NEW DAY RISING」(1985)
HUSKER DU「CANDY APPLE GRAY」(1986)
HUSKER DU「THE LIVING END」(1994)
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2010年03月22日

ROLLING STONES「LOVE YOU LIVE」

ROLLING STONES「LOVE YOU LIVE」

ROLLING STONES「LOVE YOU LIVE」(1977)

ストーンズはわかり難くて、昔はあまり好きじゃなかった。リフのはっきりしたアップテンポの曲はカッコいいと思ったけど、なんだかよくわからなかった。
そんなもんでしょう、若い頃は。

しかし、ストーンズをわかる奴も多いようだった。
大学生の頃、ストーンズ好きの集まるサークルがあって、友達がそこにいたので少し顔を出したりしていたのだけど、ああストーンズが好きな奴っているんだなと思った。
そして、なんとなく馴染めない人たちが多かった。なんていうか、マニアックで偏屈な感じなのだ。
よく言われることだけど。

本当にストーンズの良さが身に沁みてわかったのはひょっとして40近くになってからかも知れない。
うまく言えないけど、あのズブズブな感じがフィットする。
それで何十年もやってるのが凄いのか。

このライブもある意味、ズブズブである。
C面がどうのこうのみたいなことは言わない。
久々にCDで聴いてみたけどよかった。
なんかよくわからんけど気持ちいいのだ。
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2010年03月07日

ACID EATER「VIRULENT FUZZ PUNK A.C.I.D.」

ACID EATER「VIRULENT FUZZ PUNK A.C.I.D.」

ACID EATER「VIRULENT FUZZ PUNK A.C.I.D.」(2007)

ノイズ界のロック・ゴッド「マゾンナ」こと山崎マゾ、ということになっているらしいが、僕は実は彼との接触が少ない。
音源はちゃんと聴いたことがなかったし、数回ライブで遭遇したことがあるぐらいか。自分でも少し意外な感じがする。
ちゃんと聴いたのは、遅ればせもいいところのこのアルバム。
元エンジェリン・ヘヴィ・シロップの戸田房尾とふたりで始めたデュオが「クリスティーナ23 ONNA」で、それが改名したのがこのアシッド・イーターらしい。
詳しい事情はわからん。

詳しい事情などいらん。このアルバム、かなりキレていて素晴らしい。
ガレージ・パンクが基本なんだけど、基本なんかどこかに吹っ飛んでしまうくらいにバーストしまくっている。そして、すごく変。
音はノイズで全面的に過剰に装飾され、ファズだかディストーションだかかかり過ぎてハウっているというか、音として崩壊したギターが炸裂。曲の方は正統派で上質のロックンロール。

過剰な方向に進むことでロックは進化してきたと思うが、過剰も行き過ぎると奇形を生む。
そんな奇形の典型。しかしそんな奇形がまたその先を生むのである。
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