2009年10月18日

VARIOUS ARTISTS「DEAD TECH SAMPLER」

VARIOUS ARTISTS「DEAD TECH SAMPLER」

VARIOUS ARTISTS「DEAD TECH SAMPLER」(1986)

日本のアンダーグラウンド・シーンのバンドを集めたオムニバス。それだけなら珍しくない。この頃からそういうものはたくさんあった。
しかし、これはドイツ盤である。ドイツでどれほど日本のシーンが注目されていたかは知らない。
まあ、これとてさほど不思議なことではない。世界中にマニアやフリークスはいるものだ。そういう人間がひとりでも本気になればこういったものはできる。

とはいうものの、問題は内容であって、この盤の内容は凄まじいの一言。当時の日本でもこれだけのものはできなかったはずだ。
収録バンドがまずはすごい。
非常階段、ボアダムズ、ハイライズ、NULL、ルインズ、YBO2、ZEITLICH VERGELTER、A.N.P。
この組み合わせはバンド同士の交流関係を考えてもなかなかあり得ない。
しかもこの盤にしか収録されていないテイクが目白押しである。既存のものを寄せ集めたものではない。はっきり言って驚異的である。
特にハイ・ライズ。ここでしか聴けない初期の凄まじく振り切れている演奏がちびりそうである。
ZEITLICH VERGELTERの演奏なんていうのもかなりレアだ。
これを編集した人間に会ってみたいものだ。

この続編で「DEAD TECH U」というのも出ている。
そちらにはレニングラード・ブルース・マシーンやオフマスク00の、やっぱりその盤でしか聴けないテイクが入っている。
それも必聴。
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2009年10月13日

RAVEONETTES「WHIP IT ON」

RAVEONETTES「WHIP IT ON」

RAVEONETTES「WHIP IT ON」(2002)

これ、久々に聴いたらカッコいい。
デンマークの男女2人組。

@全曲同じキーで録音する、A3コードしか使わない、B曲は全て3分以内、Cハイハットやライド・シンバルは使わない、というのが彼らが自らに課したルールらしい。
このアルバムはB♭マイナーで統一されている。
そんなけったいなルールを明示的に課すことの意味とかには興味がない。しかし、その結果できた音がカッコよければそれでOKだ。

ギターのノイジーな感触の気持ちよさ、これは確かにジーザス&メリー・チェインに通じるかも知れない。
メンバーが2人なので打ち込みも使っているのだろう。その辺の律動もジーザスに通じる。
そして、そのベースに乗っかる極上にポップな曲、これもジーザスだ。
ん、単なるジーザス&メリー・チェインの遅れてきたフォローワー?

いや、そんな言い方に意味はないね。
本当にカッコいいんだ。もう本当にそれが重要。
それだけが重要。

次のアルバムはB♭メジャーで統一されている。
当然そっちのほうが明るい感じ、でもオレはやっぱりマイナーの方が心地いいね。

その他無人島に持って行きたい作品
RAVEONETTES「CHAIN GANG OF LOVE」(2003)
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2009年10月12日

VELVET MONKEYS「RAKE」

VELVET MONKEYS「RAKE」

VELVET MONKEYS「RAKE」(1990)

ベルベット・モンキーズはドン・フレミングが最初に組んだバンド。
大体の音源は「ROTTING CORPSE AU-GO-GO」というコンピレーションに収められている。ぶっ壊れたロックンロールはドンの原点であり、当時のシミー・ディスクの雰囲気をよく表している。

解散してかなり経ってからこのアルバムで一時的に復活した。
架空の映画のサントラという仕立てになっていて、参加メンバーはドン・フレミングと盟友ジェイ・スピーゲルはもちろん、サーストン・ムーア、J.マスシス、ジュリア・キャフリッツなどその筋の強者たち。
まあ、その辺の連中が集まった一種のお遊びみたいなものなのだろう。
そうは言っても時は1990年、この連中が集まってつまらんものが出来るはずはない
メンバーからして想像通りのカッコいい音になっている。

その他無人島に持って行きたい作品
VELVET MONKEYS「ROTTING CORPSE AU-GO-GO」(1989)
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2009年10月05日

ECHO AND THE BUNNYMEN「PORCUPINE」

ECHO AND THE BUNNYMEN「PORCUPINE」

ECHO AND THE BUNNYMEN「PORCUPINE」(1983)

やっぱりファーストが圧倒的に良くって、その辺は元祖サイケのドアーズみたいなのだ。
でも、セカンドとサードはいける。

そのサード・アルバムだがやっぱりクオリティは高い。
ファーストの深夜の森、セカンドの冬の海岸と続いた大自然の驚異なジャケットもここまで来ると圧巻だ。
(この後、鍾乳洞という大物が来るけど)

ロック・バンドとしての佇まいのカッコよさ。ある種正統派のロックでありながら、新しさを感じさせる音。
今聴いても本当にいけてる。
このアルバムもやや80年代的な脆弱さ(ギターの高音重視のキンキンさとか)はあるけど、やっぱりカッコいい。

「Back Of Love」もいいけど、一曲目の「The Cutter」にはやられる。いつでもやられる。

その他無人島に持って行きたい作品
ECHO AND THE BUNNYMEN「CROCODILES」(1980)
ECHO AND THE BUNNYMEN「HEAVEN UP HERE」(1981)
ECHO AND THE BUNNYMEN「NEVER STOP」(1983)
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2009年09月27日

GASTANK「HEARTFUL MELODY 1983-1988」

GASTANK「HEARTFUL MELODY 1983-1988」

GASTANK「HEARTFUL MELODY 1983-1988」(1994)

ハードコアにハードロックの要素を加える、これだけ書くと大変に単純な発想である。
90年代以降はいろいろと出てきたが、80年代半ばでは革命的な発想だったかも知れない。ある種禁じ手であったからね。
一部に限定的な方法論としてはあったかも知れないが(GISMのランディ内田のギターとか)、最初に徹底してやったのはガスタンクである。

元々ハードコア畑にいたメンバーであるが、曲の重たさ、ギターのフレーズ、BAKIの唱法に明らかにハードロックの要素を持ち込んだ。
ハードコアやパンクから見ればハードロックやヘビィメタルは完全に馬鹿にするか唾棄する対象だった。故に革命的な発想だったのだ。

そういったことを別にしても、ガスタンクはカッコよかった。BAKIはやっぱりカリスマ性があったし、なにより音がカッコよかった。
「Devil」と「Sex」が入っているシングルは死ぬ程聴いた。「Devil」のリフ、これが本当にカッコいいんだ。

これはベスト盤のようなもの。
メジャー・デビュー後も含めてガスタンクの全貌がわかると思う。
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2009年09月23日

MODERN LOVERS「THE MODERN LOVERS」

MODERN LOVERS「THE MODERN LOVERS」

MODERN LOVERS「THE MODERN LOVERS」(1976)

ジョナサン・リッチマンのその後の活動に詳しいわけではないが、まあ、その後の在り様を少し見るとこのアルバムの方が違和感がある。
その後のジョナサン・リッチマンとこのアルバムを比べれば、僕は間違いなくこのアルバムの方を取る。

基本的にはオーソドックスなロックなんだけど、どこにも属さないくせにどこにでも接点を持っているような不思議につかみ所のない音だ。
というとなんだか説明になっていないような気がするが、最初に聴いた時に感じたフィット感・間違いない感じは今でも憶えている。
パンクとその源流を聴いていた時期であり、その流れの中にきちっと位置づけられる音だと直感したのだ。
ニューヨーク・パンクよりひとつ前にある珍しい音だと思う。

上手く言えないけどね、カッコいいんだ。
ピストルズは「Roadrunner」を、バンシーズは「She Cracked」をカバーした。
「Someone I Care About」は素晴らしい名曲だと思う。
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2009年09月20日

JUNKIE XL「SATURDAY TEENAGE KICK」

JUNKIE XL「SATURDAY TEENAGE KICK」

JUNKIE XL「SATURDAY TEENAGE KICK」(1997)

僕ははっきりとダンス・フロアの住人ではないし、ジャンキーXLについても詳細なことは知らないのだ。ダンス・シーンのことは知らないし、テクノもトランスもエレクトロニカも聴かない。
でもこのアルバムは好きだ。1998年の夏から秋になる頃によく聴いた。

1998年のフジロックの様子をスペースシャワーで見た時にいいと思ったのだ。直感である。すぐにアルバムを買いに行った。よかった。よく聴いた。そういうシンプルな話。
その時はADFもカッコいいと思った。ADFもすぐに買いに行った。
当時はそういう動物のような聴き方をしていたのだ。

このアルバムはやっぱりカッコいいと思う。
セカンドはあんまりフィットしなかったので、そんなに聴かなかったけど、去年出たアルバムは久々に聴いてみた。
これはよかった。

なんだかあまり理屈はない。聴くも聴かないもいいも悪いも理由がない。
そういう聴き方もありじゃないかと思う。

その他無人島に持って行きたい作品
JUNKIE XL「BOOMING BACK AT YOU」(2008)
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2009年09月14日

ONLY ONES「REMAINS」

ONLY ONES「REMAINS」

ONLY ONES「REMAINS」(1984)

最近再結成して、昨年は来日してくれて、素晴らしいステージを見せてくれた。
確かに衰えというか経年変化はあったけど、少し高音は出なくなっていたけど、ピーター・ペレットの声は今の年齢のピーター・ペレットの正しい声だった。
ジョン・ペリーのギターも素晴らしかった。
選曲もよかった。ほとんど完璧。
ここで終われば万歳なんだけど、今年も来るのである。ここまでされると少し苦笑(笑)。

それはともかく、このアルバムがいい。
これは解散後に出た未発表曲集。そういうと中途半端なものを想像するが、そんなことは全くない。おそらく4枚目のアルバムとしてレコーディングされていたものだろう。少し録音は荒くて完成前な感じはするけど、1枚のアルバムとしてまとまっている。
音はそれまであまりなかったピアノがフィーチャーされていて、ここから新しいオンリー・ワンズが始まりそうな気配まで感じられる。

一曲目の「Prisoners」が本当にいい。本当に素晴らしい名曲。
ピーター・ペレットの弱々しいというかささやくような余分な力が抜け切ったボーカルと、おそらくで想像される歌詞が泣けるのだ。
言っておくがオレは滅多に泣かない。というか全く泣かない人間だ。
そういう人間を泣かせる名曲だ。

そして「Don't Hold Your Breath」がいい。これも本当にいい。
もうこれは理屈抜きだ。
何というか、これで全てが終わってしまってもいいような曲だ。

前回の来日、選曲は確かにほぼ完璧だったけど、「Don't Hold Your Breath」は無理にしても「Prisoners」をやってくれたら本当に完璧だった。
贅沢な願いだけど。

その他無人島に持って行きたい作品
ONLY ONES「THE ONLY ONES」(1978)
ONLY ONES「EVEN SERPENTS SHINE」(1979)
ONLY ONES「BABY'S GOT A GUN」(1980)
ONLY ONES「WHY DON'T YOU KILL YOURSELF? - THE CBS RECORDINGS」(2004)
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2009年09月07日

非常階段「THE LAST RECORDING ALUBM」

非常階段「THE LAST RECORDING ALUBM」

非常階段「THE LAST RECORDING ALUBM」(2004)

非常階段とのつき合いもなんだかんだで20数年になる。
その間常に一定のテンションで付き合ってきたわけでもない。
1990年代の後半はあまり接触がなくなっていた。何故だかはわからない。JOJO広重のソロ・アルバムが何枚か出て、なんとなく勝手に非常階段は止まっているのかと思っていた。
実はそんなことはなかったのだけど。

その後、再会するのは2002年、8年振りにライブを見た。下北沢シェルター、対バンはあぶらだこ。
これがとんでもなかった。
ノイズの純度の後退のなさ加減は当然、それどころかテンションの上がり方がそれまでに見たどの非常階段のライブよりも上だった。JOJOが白目を剥いて客を煽れば、客は大暴れ。こんなにアクティブに客に受けている非常階段は初めて見た。
それに煽られたわけではないだろうが、T・美川が客席にダイブ!まさに一生モノの光景だ。
非常階段はまだまだ終わっていないどころか、いまだに自己ベスト=世界新記録を更新し続けていることを見せつけられた。

ちなみにこの日のあぶらだこは「翌日」一曲のみを25分演奏。これまた二度と見れないライブだった。

そのライブ以来、とにかく東京方面で非常階段がライブをやる時は必ず見に行くようにしている。とは言っても本数はかなり減っているのだけど、見たものはいずれも素晴らしい内容である。
そんな21世紀の非常階段のピークをパッケージしたのがこのアルバム。
ドラムが定着してのレコーディングで、ある意味(あくまである意味で)ロックっぽいかも知れない。非常に充実した1枚である。
ちなみに「LAST」は「最後」という意味ではなく、「最新」という意味。

さて、結成30周年ということで、この6月には30枚組ボックスを出してます。もちろん買います。
10月には新宿ロフトに登場。原爆階段、原爆スター階段まで含めてのパフォーマンスを予定。もちろん行きます。

その他無人島に持って行きたい作品
非常階段「VIVA ANGEL」(1984)
非常階段「KING OF NOISE」(1985)
非常階段「TAPES」(1986)
非常階段「LIMITED EDITION」(1987)
非常階段「LIVE AND CONFUSED」(1988)(VIDEO)
非常階段「DO YOU REMEMBER PISS FACTORY」(1989)(VIDEO)
非常階段「MODERN」(1990)
非常階段「ROMANCE」(1991)
非常階段「雑音伝説 THE NEVERENDING STORY OF THE KING OF NOISE」(1992)
非常階段「WINDOM」(1992)
非常階段「NOISE FROM TRADING CARDS」(1997)
非常階段「真・雑音伝説 THE LORD OF THE NOISE」(2004)
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2009年08月31日

LAUGHING HYENAS「LIFE OF CRIME」

LAUGHING HYENAS「LIFE OF CRIME」

LAUGHING HYENAS「LIFE OF CRIME」(1990)

やはりジョン・ブランノンは凄い男なのである。どう考えても凄い男なのだ。

まずはネガティヴ・アプローチ。シカゴから80年代のアメリカン・ハードコアという地平を切り拓いていったバンドである。ある意味でマイナー・スレットと同格の位置になると言っても過言ではないのではないかと思う。シンプルで激しい音の構造は本来のストレート・エッジに繋がるものだし、激しい怒りを叩きつけるアティテュードはハードコアの基本になった。

今やっているイージー・アクションも凄い。強烈かつ凶暴なパンク・サウンドであるが、狂ったようなブルースでもある。
その音の滋味の深さとストレートな力強さは他に類を見ないと思う。

その間に25年以上のスパンがあるのだ。継続が力なりかは知らないけど、やっぱり凄いと言わざるを得ない。

そのスパンの真ん中に堂々と存在するのが、このラフィング・ハイエナズ。
ネガティブ。アプローチのストレートな音から、後のイージー・アクションに繋がるブルース色を加えたパンク・サウンドに変わっていっている。これがまた絶妙のブレンドで素晴らしい。
時代的にはグランジの頃である。その角度から言っても十分に通用する激しさとセンスがある。
ペラペラのメロコアなんかとは百万光年の隔たりがある濃いパンクである。

やっぱりジョン・ブランノンは凄いと思う。

その他無人島に持って行きたい作品
LAUGHING HYENAS「CRAWL」(1992)
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2009年08月23日

CATO SALSA EXPERIENCE AND THE THING WITH JOE MCPHEE「SOUNDS LIKE A SANDWICH」

CATO SALSA EXPERIENCE AND THE THING WITH JOE MCPHEE「SOUNDS LIKE A SANDWICH」

CATO SALSA EXPERIENCE AND THE THING WITH JOE MCPHEE「SOUNDS LIKE A SANDWICH」(2005)

カトー・サルサ・エクスペリアンスとジャズ方面の方との共演ライブ。
ジャズ方面の方というのは随分と端折った言い方だが、あまりその方面の知識がないのでご勘弁を。

ジャズと言ってもどうもフリー・ジャズ関係のようで、まあ、それは音からの想像だが、レイドバックした感じは全くない。
カトー・サルサはガレージ系のバンドで、僕もひと頃は随分聴いたが、音が段々と落ち着いてしまってからは聴いていない。しかし、ここで聴ける彼らの演奏は初期の尖ったそれである。
つまり、尖ったガレージとフリー・ジャズの共演である。どういう経緯でこの組み合わせになったかは知らない。
しかし、すごい演奏なのだ。

ギターが歪めば、サックスが咆哮する。ドラムがロールすれば、これまたサックスが爆発する。
密度の濃厚な音のやり取りがライブの緊張感の中で炸裂する。
ツェッペリンやヤー・ヤー・ヤーズのカバーなんて選曲もよくわからんが凄い。

こういう異種格闘技戦は好きだ。
スタジオ盤も1枚出ているらしいのだが、手に入らんのだ。
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2009年08月18日

CHAOTIC DISCHORD「FUCK RELIGION FUCK POLITICS FUCK THE LOT OF YOU!」

CHAOTIC DISCHORD「FUCK RELIGION FUCK POLITICS FUCK THE LOT OF YOU!」

CHAOTIC DISCHORD「FUCK RELIGION FUCK POLITICS FUCK THE LOT OF YOU!」(1983)

イギリスのハードコア・パンクが日本に紹介されたのは80年代の前半だろうか。VAPあたりが頑張って日本盤を出していた。VAPは偉かった!と言いたい。
アメリカの同系のバンドが全くと言っていいほど日本盤が出ていなかったのを考えると、完全に「英高米低」な状況だった。

当時のイギリスは、ハードコアもあったし、Oiもあったし、一言でイギリスといっても色々あったわけだけど、紹介のされ方が一緒くただったような気がする。その頃はあまり情報もなかったし、詳しいことはわからなかった。
ディスチャージもディスオーダーもエクスプロイティッドもブリッツもGBHもアブラシヴ・ホイールズもカオスUKもクラスもコンフリクトも皆イギリスのハードでコアなパンク・バンドのように見えた。
(さすがにトイ・ドールズは違ったか)
一般的な論調もやや蔑みを含んだ感じで「ハードコアなみな一緒」だったし。
このカオティック・ディスコードもである。イギリスのおっかないハードコア・パンクと思っていた。
邦盤のタイトルも「失望」(だっけ?)だったし。

しかし、実際にはどのバンドも皆違っていて、それぞれに個性があった。
このカオティック・ディスコードなんぞはハードでもコアでもないヘッポコ・パンクである。ドタバタのB級パンクである。とにかくやたらめったら「Fuck!」を連発するだけのアホんだらである。
そんなにファックだデストロイって言っちゃダメだ。

ディスチャージのような凄みやコンフリクトのような主張などない。でもそれでいいのだ。こいつらは確実にパンクのある一面を的確に捉えている。
この盤には残念ながら収録されていないが、このバンドのある意味で名曲に「Fuck Off And Die」というのがあるが、とにかく「クソったれ、死んじまえ!」なんである。
それもパンクというものだ。いいじゃねえか。
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2009年08月15日

HOLE「LIVE THROUGH THIS」

HOLE「LIVE THROUGH THIS」

HOLE「LIVE THROUGH THIS」(1994)

ホールのアルバムで一番好きなのは「CELEBRITY SKIN」だけど、この「LIVE THROUGH THIS」にも強い思いがある。
カート・コバーンが自殺したのと同じ月(というか直後)にリリースされ、そしてこのタイトルである。やっぱり何かを感じないわけのはいかない。

そういう因縁というかドラマめいたものとは別に、とにかくこのアルバムを聴いてびっくりしたのはよく憶えている。
最悪に近いノイズの垂れ流しだったファーストとは全く違った音だったからだ。一曲目の「Violet」の加速して爆発する音はファーストのホールでは考えられないぐらい引き締まっている。
全編の音のタイトさと性急さはまつわる色々なことを全てチャラにしてしまうぐらいの力がある。

一説では夫のカートがゴーストライトしているとか、ニルヴァーナの成功に嫉妬して売れるような音にしたとか、いろいろ言われているらしいが、そんなことはどうでもいい。
コートニーは何かを振り切ったのだろう。そういう意志が感じられる音だ。
エクスキューズ抜きの最上のオルタナティヴ・ロックである。

その他無人島に持って行きたい作品
HOLE「CELEBRITY SKIN」(1998)
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2009年08月14日

フィンガー5「個人授業」

フィンガー5「個人授業」

フィンガー5「個人授業」(1973)

マイケル・ジャクソンが死んだが、あまり感慨がない。80年代に青春を過ごした人間なので、少しは聴いていてもよさそうなものだが、ほぼ完璧にマイケル・ジャクソンを聴いたことがない。
ある種のフリークスぶりには興味があるが、それとて彼個人の問題であり、他人がどうこう言うことでもない。

もし彼との何かの繋がりを探すとしたら、ジャクソン5をパクってフィンガー5ができて、僕は幼少時にかなり影響を受けたということだろうか。かなり強引である。
しかし、僕が最初に買ってもらったレコードはフィンガー5の「名犬ラッシー」というシングル盤なのだ。
原点なのである。

まあ、小さい頃はよく聴いたが、もちろんジャクソン5のことなど知らなかった。普通に歌謡曲として聴いていただけだ。
後年聴き返したら、やたらとファンキーなのでびっくりした。
やはり目指すところがそういうことなのだろう。

よくカバーされる「恋のダイヤル6700」や「学園天国」に比べて地味かも知れないが、デビュー曲の「個人授業」は名曲。
イントロの分厚いギターからして超絶である。サビのアキラの絶叫もまたすこぶるファンキーだ。
ちなみにジャケットのイラストは「ドカベン」の水島新司によるもの。

その他無人島に持って行きたい作品
フィンガー5「恋のダイヤル6700」(1973)
フィンガー5「学園天国」(1974)
フィンガー5「恋のアメリカン・フットボール」(1974)
フィンガー5「名犬ラッシー」(1975)
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2009年08月09日

DEEP PURPLE「IN ROCK」

DEEP PURPLE「IN ROCK」

DEEP PURPLE「IN ROCK」(1970)

いわゆる第一期のパープルは後に名を馳せるハードロック・バンドのそれとは全く違う音だったのは有名だ。どちらかと言えば少しサイケで、クラシックからの影響が色濃いアートなバンドだった。
リッチー・ブラックモアにしてもジョン・ロードにしてもそういう志向性は確実にある。

それが一気にハードロックに針が振れたのがこのアルバム。イアン・ギランが入ったのが大きいだろうが、これは一種開き直ったとしか思えない。
カルトがポジパンと呼ばれていたところから、「ELECTRIC」で「だってツェッペリンが好きなんだもん」と言っていきなりハードロック化したようなものか。いや、もちろんカルトの方パープルより後だけどね。
しかし、カルトがやや無邪気に自分たちの本性を告白したのに比べて、パープルの場合もう少し計算高くて戦略的だ。つまり、時代の流れ的にハードロックの方が「受ける」と考えたのだろう。
RCサクセションがブレイクしていく過程に近いような気がする。
70年代は不可避的な表現スタイルに追い込まれていく時代ではなく、自らの意思でスタイルを選び取る時代であった。

とは言ってもそれは悪いことではない。
マーク・ボランは「金がないのにはもう飽きた」と言ってアコギをエレキに持ち替えて、ティラノザウルス・レックスをT.レックスにした。
その結果、T.レックスという奇跡を生んだのだ。
パープルもそれは同じ。
開き直ったにせよ、計算をしたにせよ、このアルバムでの爆発ぶりは誰も否定できない音楽的遺産だ。後の構築的になっていく音以前のとんでもなく原始的な力任せの、ほとんど狂っているかのような暴走である。
「Speed King」が最高だ。素晴らしい。

その他無人島に持って行きたい作品
DEEP PURPLE「LIVE IN JAPAN」(1973)
DEEP PURPLE「DEEPEST PURPLE」(1980)
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2009年08月03日

ファントムギフト「ザ・ファントムギフトの世界」

ファントムギフト「ザ・ファントムギフトの世界」

ファントムギフト「ザ・ファントムギフトの世界」(1987)

80年代の日本にネオGSブームというものがあった。
正直言って最初は全くピンと来なかった。80年代の日本のカルチャーにありがちなおちゃらけだと思った。
一体全体何でも「ネオ」をつければいいってもんじゃないよ、まったく、と思った。
しかし、ファントムギフトに触れて、その認識は変わった。
いや、ネオGSなんてものはどうでもよかった。ファントムギフトが偉大だったのだ。ファントムギフトだけが本物だったのだ。

最初の遭遇はライブだった。
メンバーが出てきて、ナポレオン山岸のギターが過剰なファズとともに鳴った瞬間に思った、こいつら伊達や酔狂じゃないと。それに導かれて繰り広げられるパフォーマンスは完全にGSになり切っていた。
何故そこまでやる必要がある?
客はもうすでに固定ファンがついていて、モンキーダンスを激しく踊っている。
一体これはなんなんだ?
そして演奏が凄かった。前述のナポレオン山岸のギターは一歩間違えればジミヘンだし、リズム隊の軽い抜け方もGSの完コピにガソリンをぶちまけたみたいだった。
それにピンキー青木のボーカル。その頼りなさまで完全にGSだった。

日本におけるガレージサイケはGSであった、という大胆な仮説。そこに立脚して日本のガレージサウンドを蘇生させる。
そんな発想をしたとしても普通はやらない。でも彼らはやったのだ。レコードのジャケット、曲のタイトル、歌詞、メンバーのニックネーム、衣装、曲のアレンジ、全てGSの完全コピーである。
彼らは徹底してやった。他のネオGSのバンドは彼らほど徹底していなかった。
彼らには言い訳がなかった。彼らは本気だったし、何かに絶望していたし、何かに確信していたのだと思う。

バンド名は「亡霊の贈り物」、完璧じゃないか。

解散後に出た初期音源、デモを集めたアルバムも非常に興味深い。

その他無人島に持って行きたい作品
ファントムギフト「ザ・ファントムギフトの奇跡」(2003)
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2009年08月02日

CSS「CANSEI DE SER SEXY」

CSS「CANSEI DE SER SEXY」

CSS「CANSEI DE SER SEXY」(2006)

ブラジル出身の女5人男1人の6人組。
これがファーストで、今は少しメンバーが変わっているかも知れない。

さて、ブラジルの音楽なんて聴いたことないぞ。いや、ハードコアはある。ブラジルと言えば結構ハードコアのメッカである。パンクやハードコアは世界中にあるので、少し枠外。
いかにもなブラジルらしい音楽は聴いたことがない。ダンス・シーンにも疎い。なんとかファンキとか言われてもなんだかわからん。
でも、このバンド・この盤は好きだ。

やっぱりこれは80年代のニューウェイヴだ。ポストなんてのがつかない純正のニューウェイヴだ。
ライブを見て思ったけど、テクニックはなくてもセンスとキャラ(ラヴフォックスのキャラね)だけで勝負する姿勢は明らかにあの頃のバンドと同じ匂いがした。
楽器を練習したり勉強したりする前に始めてしまう、その発想がニューウェイヴであり、パンクだ。
自由奔放さ加減は本当に嬉しくなるほど見事なのだ。

セカンドはもう少しがっちりと出来ている。それはそれで彼女たちの成長である。

その他無人島に持って行きたい作品
CSS「DONKEY」(2008)
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2009年07月20日

PUSSY GALORE「SUGAR SHIT SHARP」

PUSSY GALORE「SUGAR SHIT SHARP」

PUSSY GALORE「SUGAR SHIT SHARP」(1988)

1988年の秋、僕はアメリカのアンダーグラウンドなバンドを貪るように聴いていた。一番熱心に聴いていたのはソニック・ユースで、ソニック・ユースが2枚組の新譜を出すというのにドキドキしていた。
何かが始まって、爆発する予感がいっぱいだった。

ソニック・ユースが来日することになって、一日目には行くことにしていたのだけど、やっぱり二日目も行きたくなって、チケットを買いに行った。買いに行った先は、スーパーナチュラル・オーガニゼーションという呼び屋の事務所で、事務所兼レコード屋になっていた。渋谷の宮益坂にあった。
事務所に入ると、なんだか曲者風の外人が4人いた。
あっ、と思ったが、プッシー・ガロアのメンバーだった。来日していたのだ。やっぱりある種のオーラがあって、すぐにわかった。
カウンターのあたりでたむろしている彼らの間から「ソニック・ユースのチケット一枚」と言ったら、連中が「なんだなんだ」と言ってきた。
ソニック・ユースのチケットだとわかると、「あいつらは全然よくないぜ、オレたちを見に来いよ」と(もちろん英語で)言われた。
思えばあの時その言葉に乗っておけばよかった。
見ておけばよかった、プッシー・ガロア。死ぬ程後悔している。

その頃出た彼らのミニ・アルバム。もちろん速攻で聴いた。何度も聴いた。
ノイ・バウテンの「YU-GUN」のカバーが最高。「Motherfucker!」のジョン・スペンサーの叫びが一閃、音が爆発するところが最高。
その他の曲も全てよくて、それまでも腐った金属音のようなクズな音(褒め言葉だよ)に比べて、とてもきちんとしている。
彼らの本質的なカッコよさが、整理されて効率よく発揮されている。
死ぬ程カッコいい。

ストーンズのロゴとノイ・バウテンのロゴを合体させたジャケット。しかし、ストーンズのロゴの使用許可はおりなかった。
当時のスーパーナチュラル・オーガニゼーションから出ていた日本盤にはストーンズのロゴ盤のステッカーがついていた。

その他無人島に持って行きたい作品
PUSSY GALORE「RIGHT NOW」(1987)
PUSSY GALORE「DIAL'M' FOR MOTHERFUCKER」(1989)
PUSSY GALORE「CORPSE LOVE THE FIRST YEAR」(1992)
PUSSY GALORE「LIVE IN THE RED」(1998)
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2009年07月19日

オナニーマシーン「彼女ボシュー」

オナニーマシーン「彼女ボシュー」

オナニーマシーン「彼女ボシュー」(2002)

僕は一回オナマシのライブを見たことがある。それが自慢だ。
その帰り道、そのライブに聴いた曲を口ずさんで帰った。
「オナニー、オナニー、オナニーマシーン!」と口ずさんで帰った。

勝ったように見えても、負けたように見えても、結局全ての人間はオナマシである。もし自分はそうでないと主張する者がいるとしたら、僕にとってその人は人間ですらない。
どんなナルシストも自信過剰な人間も結局はオナマシである。

こんなに馬鹿げたことをやって大笑いして、でも本当のところは洒落でもなんでもないんだよ。
これが本当なんだよ。それでも笑うしかないんだよ。

このアルバムに収録されている「あの人」は本当に名曲だと思う。
posted by はせお at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 無人島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月12日

SLITS「CUT」

SLITS「CUT」

SLITS「CUT」(1979)

泥乳ダブである。このジャケットは素晴らしい。
いや、オレは巨乳好きではない、念のため。

元はバリバリのパンク・バンドだった彼女たちは、あっという間に色々な音楽を吸収して、このファーストを出す頃にはダブになっていた。
うーん、ダブ?
確かにそうである。ベースラインとか、ギターの鳴り方とか、ダブの要素はふんだんにある。しかし、本当に素晴らしいのはダブだからではない。

パンクが自由な音楽的発想からなるものというは忘れられることが多い。スタイルにハマりやすい形態だからね。
そこのところが嫌になったジョン・ライドンはピストルズをやめてPILを始めたわけだ。

自由な発想とセンス、それだけでできているようなアルバムである。結果的にダブということはあるかも知れないが(それにしたって、後のダブとは大いに違う。なんたって人力だからね)、誰も考えなかったことを好き勝手にやった結果なのだ。
それが様になっているというのがセンスなのだ。テクニックではない。

こういうバンドは本当に素敵だ。

その他無人島に持って行きたい作品
SLITS「IN THE BEGINNING」(1997)
posted by はせお at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 無人島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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